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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載462016年8月16日08時10分

新春にケアマネジメントの自費導入を問う!

介護保険制度の根幹を危うくしてはいけない

 2015年度の介護支援専門員の受講試験は、受験者が2割減り、合格者も15.5%と最低レベルで、過去17回も含めて全合格者が65万456人になった模様だ。今後16年度から改正されたカリキュラムの実務研修を経て介護支援専門員として登録される。

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 11年段階の介護支援専門員合格者59万6,000人に対して、ケアマネジャーとして就労しているのは25%だ。働く場は約6割が居宅介護支援事業所、7%が地域包括支援センター、介護3施設で15%、認知症グループホームと特定施設で14%だが、ケアマネジメントに対して介護給付されているのは、居宅介護支援と地域包括への予防介護支援の65%のみで、他はケアマネジャーの配置は義務化されていても給付はない。

 特別養護老人ホームの団体が社会保障の見直しで「ケアマネジメントは自費にせよ」と提言しているように、次回改定ではケアマネジメントが問われてくる。

ケアマネジメントへの自費導入は介護保険を危うくする

 ケアマネジメントへの1割負担導入は、12年度改正で国が提案したが、日本介護支援専門員協会の反対署名などもあり、導入されなかった。15年度から要支援者109万人(全利用者の21%)は市町村事業に変更することになり、予防マネジメントは介護給付から除外されることになった。また、小規模多機能と看護小規模多機能に総合マネジメント体制強化加算月1万円が導入され、介護度別限度額の外で、1割負担が導入されるなど、自費負担導入の外堀を埋める施策が導入されてきた。

 18年度改定に向け、保健医療2035推進本部のプログラム案では「ケアマネジメントへの自費導入」検討が示されている。

 ケアマネジメントの自費導入についての問題は以下の3点となる。

 ①直接サービスと相談支援は異なる=「サービスを受けているから自己負担は当然」と国は言うがそうだろうか。介護やリハビリ・看護等の直接サービスと、利用者・家族のニーズに向き合い、相談支援するソーシャルワークとは根本が違う。本人や介護者に向き合い、アセスメントやケアプラン作成、モニタリング、サービス事業所と調整し、他職種の役割分担をして最適サービス提供に繋げるのがケアマネジメントだ。介護保険制度の遂行の基本システムとして位置づけるものである。

 ②自己負担が1~2割導入された場合に、「重度な人ほど負担が多い」「特定加算を取得している居宅介護支援事業所だと負担が多い」ことになり、限度額との関係で利用者のサービスの受けられる量が減る。限度額の外に位置づけても、相談支援に現金を支払うことへの抵抗感や、「要求どおりのサービス導入を強要する介護者」など、自立支援に向けたケアマネジメントの根幹がゆるぎかねない。給付増にもつながる。

 ③さらに毎月、「退院退所加算300単位」「初回加算300単位(新規、予防変更、2段階変更)」などの計算をし、請求書発行や現金の受けとり、領収書を発行していく業務の煩雑さに加え、「ケアプラン契約数の拡大」のために「ケアマネジメントの自費負担分は受け取りません」(介護保険給付のみ受け取る)など、「居宅介護支援事業所のダンピング」が起こる可能性がある。そうなると、サービスを併設しない「独立型ケアマネジメント」はケアプランしか収入がないため苦境に陥る。また、厚生労働省の経営実態調査で全国平均2.5人の常勤換算ケアマネジャーという現実で、居宅介護支援事業所は継続すら危うくなりかねない。

とことん自立支援、最後まで寄り添うケアマネジメントを育成しよう

 認知症グループホームや施設入所への適切な移行支援、退院支援や日常的な悪化リスクへの予防、介護者への支援など、ケアマネジメントに求められる役割は拡大している。地域資源やインフォーマルな資源も活用し、とことん在宅で暮らすことができれば、介護給付は削減できる。

 「他のサービスも自己負担があるので、ケアマネジメントも当たり前」「質で選ばれるから自費導入でも大丈夫」という安易な自費容認の意見を見直そう。新春にケアマネジメントの根幹を問いたいと思う。

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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