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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ552016年10月27日14時53分

介護報酬を見直さない「外国人介護実習生受け入れ」は介護職の低賃金を固定化させる

1.就業ヘルパー38万人、仕事に就かない2級ヘルパー228.8万人

 政府は9月27日、「働き方改革実現会議」で外国人介護労働者の受け入れを決める方向を示した。筆者は外国人労働者が劣るとも、日本で働くこと自体も悪いとも考えてはいない。しかし、外国人技能実習制度が過酷な労働と低賃金で、研修生の逃亡や殺人事件まで起きている現実を無視して、「介護人材がいないから外国人介護職を解禁」というのはあまりに安易であり、かつ現状の介護職の低賃金の固定化につながると問題を指摘したい。

1003hattori1.jpg ヘルパー資格取得者が不足しているのではない。訪問介護員養成研修2級修了者は267.3万人いるが(日本総研、訪問介護員2級終了者の実態11年7月26日)、その86.5%が介護の仕事についていない。現実には介護職は募集しても来ない、就業しても退職者が多い。このザルに水を注ぐような実態の改善なくして、日本の介護の未来はないのである。

2.介護職の低賃金、過酷労働の改善なくして、介護の量と質は確保できない

 介護職の不足は年々高まり、無資格者では就業できない訪問介護員の不足は高まっている。資格はあるのに仕事につかない理由を改善することが最優先である。

1003hattori2.jpg グラフ2のように、訪問介護員の採用困難の上位5位は低賃金、過酷労働、社会的評価、休めない、雇用不安定――が原因である。賃金は全産業平均より月額で10万円以上低い。24時間365日の仕事で、かつ訪問介護員の75.1%が非正規雇用であり、短時間労働者である。利用者の入院・入所もあって雇用が不安定であり、介護や子育てとの両立も過酷である。

3.外国人研修生の労働基準法違反は7割、それを放置するのか

 厚生労働省が15年度の外国人技能実習指導状況を公表したが、労働基準法違反は実習機関の71.4%に達していた。

1003hattori3.jpg 労働条件、安全、衛生、賃金の違反が合わせて全体の7割以上で、それは11年の違反事業所82%から継続して指摘されているのである。この現実をゼロにすることなく介護職を投入すれば、現状の介護労働の課題は棚上げになり、介護の質は確保されないのである。

 国は介護福祉士化を勧めているが試験センターの14年度の調査では、介護福祉士ですら、常勤非正規の男性で年収248万円、女性は228万円で、社会福祉士と年収で100万円の格差がある。

 非正規雇用が多い介護分野では、介護報酬をまともにしていくことが最優先である。それなくして、要介護2までを介護保険から外せば給付が下がるというのは、現場の介護職も要介護高齢者も介護者も、追い詰めることになるのである。

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