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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ542016年10月 3日11時51分

公的介護保険から外し「民間介護保険」への誘導は、利用者も事業者も追い詰める

1.2017年度の医療・介護費用の1,400億円削減予算案

 財務省と厚生労働省は、①かかりつけ医以外の受診に定額負担②高額療養費の見直しで自己負担を増やす③薬価削減で保険外の薬剤を増やすなど――の方針を打ち出している。

 医療が家庭医と専門医に分かれている外国とは違い、日本の家庭医は外科、整形、内科、皮膚科と分化しているのが現状である。従って16年度からの「紹介状なしの大病院受診は自費5,000円」は、医療・介護費用の抑制になっているのか疑問である。

 要介護者が通院するには、ヘルパー手配、介護タクシー手配、院内は自費払いであり、紹介状を受けるため、受診は手間と時間と介護費用が増えるのである。介護は、①自己負担2割の拡大(前期高齢者2割負担、後期高齢者も1割の基準を下げる)に加えて、②高額介護費の上限の見直しにより、さらに自己負担は増える。さらに、③要介護の低い人(要介護1、2)の介護保険外しが予定されている。

 16年6月審査分で要支援~要介護2は利用者の63%である。これだけの利用者を介護保険から外し、市町村事業や自費にすれば「介護難民」が増え、自費で払えなければ、歩行器や杖や住宅改修で、手すりの設置や和式トイレの洋式への変更を諦めることになり、状態は悪化し、家族の介護負担は増加し、在宅の高齢者虐待は増える。

2.医療保険改正で「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」創設

 15年9月に医療・介護・非営利法人が経営統合し事業展開する、「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」がスタートした。銀行や保険会社が経営統合し、コンビニもファミリマートがサークルKやココストアを、ローソンがサンクスやスリーエフ、成城石井を経営統合することで、営業や仕入れを効率化を進めるように、目的は経営の効率化である。

 これが2030年の地域包括ケアには描かれている。しかし、経営する側は入院患者を老健やリハビリ病院に移し、訪問看護やリハビリ、特養のデイサービスにつなげれば営業はいらず、情報共有はでき効率化が進む。しかし、利用者はサービスの選択性を奪われ、サービス事業所は大規模経営の傘下に入らなければ生き残れなくなる。さらにこの非営利ホールディングカンパニー型法人は、介護事業の株式会社への出資により、この経営の中に株式会社の介護サービスも子会社化することができるのである。

3.金融庁は民間介護保険の現物給付を認める…公的介護保険から民間介護保険へ

 民間介護保険は、損保や生保で「介護認定を受ければ〇〇円給付」として商品化されたが、販売は伸びていない。しかし14年から保険会社の直接給付でなく、関連会社からの現物給付は認める方向がでた。そこで、損保や生保が介護サービスを買収し子会社化している動向が加速化されてきた。つまり、要介護2までの介護サービスは、公的保険の対象から外して「民間保険(自己負担)で対応する」方向を国は想定しているのである。

 それなら40歳から亡くなるまで介護保険料を払い続けて、なぜ新たに民間介護保険に加入しなければならないのか。

 国は、介護保険創設時から要介護3以上の中重度者を給付対象とすることも検討していたが、措置の時点でサービスを受けていた人は、寝たきりや重度者以外の人が多くいた。その高齢者に「保険料は徴収するが今のサービスは自費」では、制度への賛同が得られないと考え、「要支援」の認定を行ったのである。

 そして制度がスタートして保険料が取りはぐれなく徴収できるようになった時点の05年に介護保険法を変え、「要介護1は要支援2」の移行を進め、要介護1から車いすやベッドを引き剥がしたのである。

 また、施設の介護給付を削減し、自費を増やしたのである。その後は、制度の改定のたびに地域密着型サービスへの移行を進め、給付額を抑えてきたのである。

4.介護報酬を抑制し、介護人材の不足を呼び、外国人介護職導入か

 5回の介護報酬改定のうち4回がマイナス改定で、人材の介護離れが進み、質の確保ができない現状で、施設での虐待や介護職のストレスが現場の問題を深刻化させている。そのような現実にフタをして「外国人介護職」の導入は、介護職の低賃金の固定化につながりかねない。

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