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行政手続きにおける押印原則の見直し/西谷直子(連載175)

行政手続きにおける押印原則の見直し/西谷直子(連載175)

 春の陽気に包まれ、新しい季節、新しい年度が始まりました。昨年の今頃をふと思い出しながら、業務の進め方の大きな変化も定着してきたと感じる今日この頃です。
 さて、2020年7月に閣議決定された「規制改革実施計画」を踏まえ、「国民や事業者等に対して、押印等を求めている手続きについて、国民や事業者等の押印等を不要とするために必要な改正を行う」とされ、労働保険・社会保険関連でも様々な手続きにおいて届出書への押印が原則不要となりました。行政のデジタル化推進の流れの中、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、昨年末以降、押印廃止が一気に進みました。

 労働基準法関連では、2021年4月1日以降に労働基準監督署へ提出する36協定届(時間外・休日労働協定届)も押印・署名をする必要がなくなり、記名のみで届出等可能になりました。ただし、協定届が協定を兼ねる場合には、これまで通り労働者代表の記名押印が必要です。

 今回の押印原則の見直しは行政手続きにおけるものであって、労使間の手続きに直接の影響が及ぶものではないので、協定の締結は、記名押印または署名など労使双方の合意がなされたことが明らかになる方法で行ってください。36協定届(様式第9号等)の様式も変更されています。

 ①協定届に記載されている労働組合が、事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合であるか、または労働者の過半数を代表する者が事業場の全ての労働者の過半数を代表する労働者であるか②過半数代表者と協定を締結した場合に、当該過半数代表者が管理監督者ではなく、かつ選出方法が適正であるか、という確認のチェックボックスが2つ新設されています。

 各様式は押印欄が削除された新しいものになっていますが、旧様式も引き続き使用できます。押印欄のある旧様式で提出する場合でも押印は必要ありません。

 ただし、36協定の旧様式を使用する場合は、チェックボックスを追記するか、チェックボックスの記載を転記した紙を添付して届け出る必要があります。手続き書類の中には引き続き押印の必要なものもありますので、その点ご注意ください。
(シルバー産業新聞2021年4月10日号)

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